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76. 【食器】は「アート」か「工芸」か?

76. 【食器】は「アート」か「工芸」か?

こんにちは、のぶちかです。

さて本日は「アート」関連のお話を☝

「JIBITA」では若手陶芸家の器を主に販売してますが、売り手も買い手も作り手も陶芸家の事を「アーティスト」や「作家」と呼ぶ場合が多く、その場合は「食器」でも「工芸(作品)」と呼んだり、一方で「器」と呼び分けたりする事も多いことから、「食器」はその特性ごとにどう表現するのが正しいのか改めて調べてみました。

「アート」、「工芸(作品)」、「食器」の違いとは?

という事で、下記の検索ワードでさっそく調べてみました☝

すると早速、聞きなれない「ファインアート」というワードが・・・↓。

「ファインアート」とは?

ファインアート(fine art, fine arts)は、芸術的価値を専らにする活動や作品を指す概念。日本語の芸術とほぼ同義であるが、とくに応用芸術大衆芸術と区別して純粋芸術を意味する場合に使われる。芸術の中でも美術について使われることが多く、この場合、応用美術に対して純粋美術とも。
ファインアートは、ハイカルチャーを構成する一部分である。ハイアート(high art)はファインアートとほぼ同義だが、ファインアートは応用芸術との対比で、ハイアートは大衆芸術との対比で使われることが多い。
1911年のブリタニカ百科事典第11版は、ファインアートの5大領域を建築、彫刻、絵画、音楽、詩(Poetry)とし、補助的領域としてダンスと演劇をあげている[1]。
美術分野の代表的なファインアートは絵画彫刻あり、これに対するイラストレーションやデザイン、工芸と峻別されるが、20世紀最後の四半期以降、その領域は互いに浸透し、区分は曖昧なものになりつつある。

引用: ウィキペディア 「ファインアート」

となっています。

注目すべきは1911年「ブリタニカ百科事典第11版」。

この時点では

工芸ファインアート(純粋芸術)に位置付けられていない

が、

20世紀最後の四半世紀以降には、

(ファインアートと工芸の)区分は曖昧なものになりつつある

という事。

つまり、

歴史的に「工芸」はつい最近「(ファイン)アート」とカテゴライズしても間違いではなくなったという事☝

では、

「工芸」を「(ファイン)アート」と一括りに呼んでしまって大丈夫なのだろうか?

という事で今一度、「工芸」についても調べてみました。

「工芸」とは?

工芸(こうげい)とは、実用品に芸術的な意匠を施し、機能性と美術的な美しさを融合させた工作物のこと。多くは、緻密な手作業によって製作される手工業品である。あくまでも実用性を重視しており、鑑賞目的の芸術作品とは異なる。ただし両者の境界は曖昧であり、人によって解釈は異なり得る

引用: ウィキペディア 「工芸」

とあり、

工芸は、今日では大量生産など工業手法の発達にもよって、一般向けの安価で実用のみを求める器物は大量生産品で賄い、特に趣味性や意匠性、あるいは美術性が求められる分野などで多大なコストを掛けて製作される器物を工芸品それを作る行為を工芸といった具合に住み分けが行なわれている。

ただ、時代を遡り産業が今よりもっと素朴であった頃には、全ての工業製品は家内制手工業など職人が一点一点制作するものしかなかった訳で、この時代においては趣味性や美術性を求める高価な工芸品から、実用一辺倒の安価な工芸品まで様々なものが存在していた。

現代における工芸では、それを制作する行為そのものを実利を求めない趣味と位置付けて行なうもの、あるいは高度な美術性を実用品に盛り込むための創作活動(美術工芸)、また伝統文化として過去の工芸技術の伝承・復興などが行なわれている。また、過去に一度衰退して失われた工芸技術の再現などの活動も見られる。

引用: ウィキペディア 「工芸」

と続きます。

なんだか分かりやすい様で複雑ですね(笑)。

以上から「工芸」を少しまとめてみると、

◆解釈の相違の存在
「工芸」は「実用性重視」で「鑑賞自体が目的の芸術作品」とは異なるという見方がありつつ、 人によって「実用性」が低くても、また「鑑賞自体が目的」でも「工芸」と解釈する場合があり得るという事。

◆(昔)の工芸品
家内制手工業時代には、高価なものから安価なものまで全て職人が1点1点手作りせざるを得なかった工芸品だった。

◆(今)の工芸品
工業手法が発達した現代では、安価な実用品を「大量生産品」、美術的意匠が高く高価なものを「工芸品」、それを作る行為を「工芸」としている。

◆(行為)としての「工芸」
・実利を求めない趣味
・高度な美術性を実用品に反映する創作活動
・過去の工芸技術の伝承・復興

となります。

つまり今は、

美的意匠が高く高価であれば「工芸品」と呼べる

・安価な実用品は「工芸品」とは呼べない

という事☝

また、個人的にはこれまで意匠の有無に関わらず実用に適う「食器形状」のものを「工芸」と呼んでいたのですが、「工芸」そのものはなんとそれを作る「行為」であり、正確には「工芸品」と呼ぶべきだったのです(今更!)。

ちなみに、

「工業製品」という言葉が出てきましたが、現代におけるそれは「≒大量生産品」として使われていますが、家内制手工業時代は手作りのものも「工業製品」扱いという点が面白いですね。

しかし、

陶芸に関して言えば、今でこそロクロは「手作り」感が伝わる制作方法ですが、そもそもは手びねりより早く作る事を可能にする為に作られた機械なので、その意味で手工業時代にロクロで作られたものが「工業製品」扱いされるのは当時とすれば当たり前とも想像できますが☝

まとめ

・1911年~20世紀後半の四半世紀までは意匠の如何に関わらず「工芸」に属する「食器」は「アート」に属していなかった。

・ 20世紀後半の四半世紀 から現代までは 「工芸品」が「(ファイン)アート」にカテゴライズされる為、「工芸品」たり得る「食器( 手作りで美的意匠が高く高価な実用品)」はそもそも「アート」と「工芸品」とに区分できない。

・「食器 ( 手作りで美的意匠が高く高価な実用品) 」は鑑賞者の解釈により「(ファイン)アート」及び「工芸品」となり得るが、意匠性が低く安価な実用品はどちらにも属さない「大量生産品」とされる。

本日は以上です。

一部、まさかの「鑑賞者に解釈」によりゆだねられる結果となってしまい、私が普段扱っているものに対して「食器」とするかあるいは「アート」・「工芸」とするかという疑問も私の眼にゆだねられる事になってしまいました(笑)。

また「高価」、「美的意匠」に関する価値も人それぞれですが、「高価」でなくともデコラティブな「美的意匠」が無くシンプルなものでも、アウトラインバランスや厚み、釉色、釉質等で非常に美しいものを作る作家も大勢いるので、これからはその点を基準に「作品」や「器」と呼び分ける事にします。